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Selfishly

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9月

~ アルフォンスに気づかれたかも ~       
       
                 H17,11/13 18:00

   
   - アルフォンスの大佐観察日記 ー

大佐は 本当に良く気がつく、優しい人だと思う。
僕が そう言うと、兄さんは嫌な顔をするけど。

無茶をする兄を叱ってくれたり、
身体(主に、成長?)に気遣ってくれて
兄さんを美味しい食事に連れて行ってくれたり、
息抜きにとお茶にさそってくれたり。

僕達が 手に入れるのが難しい文献も、
いつも探し出してきてくれる。

だから、本当に 『 いいひとだな~』と思っている。
まるで、僕達のお兄さんか、お父さんみたいだなぁ~と
思っていたんだけど。
 (お父さんだなんて、大佐には失礼かな?)

でも、最近 ちょっと 不思議に思う時があるんだけど、
大佐の 兄に対する気の使いようは、
何だか それだけじゃーないような。

なんで、僕は 大佐の行動を記録してみようと思う。
疑問に思う事を探求してみないと気がすまないのって、
錬金術師の 性(さが)なんだよね。
 (でも、これって野次馬根性って皆は言うのかな・・・。)


● 某月某日 朝

大佐から、入院した兄に花束と 退屈するだろうからと
色んな軽い読み物が届いた。

また、無茶をするといけないからと
文献は与えないようにと、大佐から言われていたんで、
その替りかな?

兄は不満顔だったけど、今回は僕や大佐に迷惑をかけたのを
解っているからか、今も大人しく届けられた雑誌を読んでいる。
普段、旅から旅の忙しい僕達には余り縁の無い
世間の情報や流行が乗っている雑誌や、
文学小説とか、流行の小説とか色々あって なかなか面白い。

今、兄が読んでいるのは
「イーストシティー グルメマップ」だ。
届いた時に、 大佐の直筆と思うメモが付いていて、
『行きたいと思う店全部に 印を付けなさい。』とあった。
兄さん、「ここのケーキ、上手そ~。」とか、
「これなんだ? 食ったことないぞ。」とか言いながら
次々 印を付けてるけど、
大佐、この店全部 連れて行くつもりかな~?


● 同日 お昼

大佐が、病室に顔を出した。
お茶の時間にという事で、ケーキを持ってきてくれた。

「失礼するよ。」
「あっ、大佐 こんにちは。
 朝は 色んな物を届けて下さってありがとうございました。」
「よぉ。 どうせ届けてくれるなら、文献か情報のがよかったのに。」
「兄さん! 失礼な事言わないの!
 大佐、ここにどうぞ。」
とベッドの横の椅子を勧めた。
「ありがとう。 
 これは、鋼のにと思って持ってきたんだけど、
 余計だったかな?」
「えっ! 何? ケーキ!
 食う食う! 大佐、いつもアリガトウゴザイマス。」
「なんだか、礼の言葉が棒読みだった気がするが・・・、
 まぁ、いいだろう。
 消化に良さそうな物を選んでみたんだが、どうかな。」
と箱を開けて、兄さんに渡して見せた。

そこには、見た目も綺麗で美味しそうなケーキが 
ぎっしりと詰まっていた。
「わぁ~、すげえ。上手そう~!
 大佐、サンキュー。」
ケーキを見て上機嫌になった兄さんは、
にっこりと大佐に笑顔を向けてお礼を言った。

普段、兄が素直に礼を言うなんて事が少ないせいか
大佐、少し ビックリした表情になったけど、
喜んでる兄さんを見て、嬉しそうに微笑んでた。
そのまま手掴みで食べそうな勢いの兄さんに、
取り合えずお皿とフォークを渡して、
僕は 二人のお茶の用意を始めた。

「で、鋼の。体調は どうなのかね?」
「もう、全然OK! 
 でも、医者は 3日間の入院、1週間の自宅療養とか言ってさー。
 アルも、先生の言うことは聞かなくちゃーって言うんだぜ。
 長すぎると思わない?
 
 あっそうだ、あんたから 医者に掛け合ってくれよ。
 もう、全然 大丈夫なんで、退院させてくれって。」

ケーキを食べるのと、文句を言うのに忙しい兄さんの話を
聞いていた大佐が、神妙そうな顔をして、

「そうは言うがね 鋼の。
 医療の事は 私にはわからないし、
 もし、今 無茶して さらに悪い状態にでもなったらどうする?
 また、アルフォンス君に 心配をかける事になるぞ。
 今回は、観念して 医者の言うことを聞いたほうが
 君のためだよ。」

そんな風に言われると、兄も思うところがあったのか、
「ちぇー。」とかつぶやきながら、ケーキを食べるのに専念した。

「うぁー、これ上手い! なんだろ?」
2個目のケーキに突入していた兄さんが感嘆の声を上げた。
「どれかね?
 ああ それか、それは桃のババロアだな。」
「へぇ~、桃かー。
 桃って、果物で食べてても美味しいけど
 こうしてケーキで食べても美味しいよなー。」

「鋼のは、桃が好きだったようなんで気に入ると思ったよ。」
ニコニコと、兄さんが美味しそうに食べているのを見ていた大佐が、
「鋼の。お弁当が付いてるよ。」
とひょいっと、兄の口をぬぐうと
指についてたクリームをペロリと舐めた。

僕は持っていたカップを落としそうになったけど、
かろうじて 大佐に手渡した。

「た、大佐。 どうぞ・・。」
「ああ、ありがとう。」
大佐は お茶を手渡した僕に笑顔で礼を言った後、
また、兄の方に すぐに向きなおした。
今の 自分の行動は、何とも思ってないようだ・・・。

「ちょっと、やめろよ!
 子供扱いするなよ。」

大佐の今の行動に、
子ども扱いされたと思った兄さんが
大佐に抗議をしている。

「君は まだ子供だよ。
 ケーキが大好きなんて、子供じゃないか。」
と 兄をからかうような口調で答えている。

「うっさい! 俺は大人になってもケーキが好きなの!
 ってか、あんたは食べないのか?」

「そうだね、あんまり甘いものは好きではないのでね。」
「ふーん・・・。
 こんなに美味しいのになー。
 それに これ、そんなに甘くないよ。」
と、首を傾げて ケーキと大佐を交互に見ていた。

「そうかね? 果物で作っているからかな。」
と微笑んで答える大佐に、兄さんは 
フォークに1口分のケーキを乗せて、
「ほれ、食べてみ。」と そのフォークを大佐の口に近づけた。

「に、兄さん!」
慌てた僕は 兄さんを止めようと呼びかけた。
大佐は 驚いた表情で、兄さんと フォークを眺めてる。

兄さんは、僕の呼びかけに「?」な表情を向けてきたけど、
はっと、気づいたように大佐に謝った。

「あっ、ごめん。 
 俺が食べてたフォークだから汚いよな。」
(兄さん、気づく所が違うよ!)

フォークを戻そうとした兄さんに、
「・・いや、構わないよ。
 1口もらってもいいかな?」
あ~んと口を開けた大佐に、
どうしようかと考えていたようだけど、
「はい。」っと素直にケーキを運んでやっていた。

「・・・上手いな。」
思わず、とつぶやく大佐に
「だろ~。」
と自信満々に答える兄さん。

「そうだよ、あんたのは食わず嫌い。
 ケーキは上手いの!
 もう1口食べる?」
「頂こうかな。」

なんだか 二人の世界に入れなくて、
僕は そっと病室を出た。
中では、
『 もうダメ! 俺のが無くなる。
 ってか、あんた 自分で食べろよ。』と今頃、気づいた兄が
言っている声が聞こえている。
それに答えている大佐の言葉が
『もうちょっとだけ。』と聞こえていたのは聞き間違い?

『大佐、僕 黙っておきますね。
 本当は兄さん、入院1日 療養3日の診断の所を
 大佐の権限で、差額の費用は大佐持ちで入院を引き伸ばしてるの。
 さらにこの後、自宅療養を大佐の家でって決まっているのも。』


● 同日 夕方

食事の時間になって、兄さんの食事が運ばれてきた。
見た目も、きっと値段も豪勢な食事は
大佐が昼に持って帰った、兄さんが印を付けた某有名店の
デリバリーだった。

運んで来た人が、こそっと話してくれたんだけど
本当は デリバリーなんか引き受けないんだけど、
ご贔屓の大佐のたってのお願いだからって事だった。

「ご指示のとうり、消化と滋養に良いものにしてありますから。」
と話して立ち去って行った。
「ご無理を言いまして申し訳ありませんでした。」と
何故か、僕が謝って見送った。

料理を見た兄さんは、
「おっ! なんか豪勢だよなー、今日の食事。」と
喜んでいる。
「違うよ兄さん、これ病院の食事じゃなくて
 大佐が用意して下さったそうだよ。」
「へっ? 大佐が?
 大佐、太っ腹~、いいとこあるじゃんか。
 じゃ、冷めない内に いっただきまーす。」

僕は、兄さんの神経の太さが羨ましいよ・・・。

その後、帰る前にと大佐が顔を見せた。
料理に満足していた兄さんは、
ご機嫌で大佐にお礼を言っていた。
大佐は ひどく嬉しそうに、明日もと約束していた。

「では、帰るが
 鋼のも 夜更かししないで、きちんと寝るんだぞ。」
「わかってるって。
 どうせ消灯で電気も消されるしな。
 あんたも、気をつけて帰れよ。」
「おや、心配してくれるのかな、嬉しいね。
 では おやすみ。 また明日。」
「おう、お休み! また明日な。」
ごく普通に明日の約束をしてる二人。

僕らが旅をしている時なら、
出来なかった約束の言葉だな~。
大佐が 兄さんの入院を引き伸ばした気持ちが
なんとなく解る気がした。


● 某月某日 

 この日は朝から大佐が顔を出した。
 前日、「消灯早いから、起きるのが早くなる。」と
 兄が愚痴をこぼしていたのを聞いたからのようで、
 その朝は、兄が食べたいと印を付けた 有名なパン屋の
 焼きたて限定のパンを持ってきてくれた。

「今日は これから、出かける事になっててね。」
「へぇ~、大佐 どっか行くんだ。」
「あぁ、セントラルから来ている お偉方に付き合ってね。」
やれやれとため息をついている大佐。

「大変だな~、まぁ頑張れよ!
 あれ? 大佐、寝癖ついてるぜ。」
「え、どこかね?」
「そらそこ、今 押さえた右。」
「ここかね?  どうかな?」
と言われた箇所を押さえてみるが
手を離すと ぴょんと跳ねる。

「あはは~、
 乾いたままじゃーダメだな。
 ちょいと、待ち。」とスタスタと洗面所に行き
 手を濡らして戻ってくる。

「ほれ。」
はねている髪を濡らして、手で鋤いてやる。
「よっしゃ、OK出来たぜ。」

「ありがとう。
 では行って来る。」
「おう、気をつけて行ってこい。」
「いってきます。」

兄さんに寝癖を直してもらった大佐の足取りは、
うきうきと軽く、鼻歌でも歌いだしそうだった。
もしかしたら、歌ってたかも・・・。

でも、この二人のやりとり、まるで夫婦のように思えるのは
僕 だけなんだろうか?
 

 今日は 査察に付き合って、イーストを離れるから
 後は 届けてもらえるように手配していると言っていたとうり、
 昼には これも兄さんがマークした カフェのランチを
 ランチBOXにして届いた。
 
 夕方は シチューが美味しいと評判の店のシチューが鍋ごと。
 届けてくれていたフュリーさんが、
 「エドワードさん。 大切にされてますねー。」と
 無邪気な笑顔で話すので、僕も「そうですね。」と答えておいた。


● 某月某日

今日は兄さんの退院の日だ。
っと言っても、特に悪い所があったわけでもなく入院していたのだから、
兄さんにしてみれば、「やっと出れた~。」と叫ぶ気持ちもわかる。

「鋼の、迎えにきたぞ。」
病院のロビーで退院の手続きをしていると、
私服姿の大佐が近づいてきた。
「よぉ、大佐。」
「大佐、おはようございます。」
「おはよう。
 荷物は これだけかね?」
と兄さんが持っていたカバンを受け取る。

「ちょ、ちょっと大佐、何するんだよ!。」
荷物を取られた兄さんが、慌てて大佐に詰め寄る。
「何って? 今から家に運ぶんだが?」
「えっ?
 何で? 家って、あんたの家?」
「そうだよ、こんな所で騒いでては 皆さんにご迷惑だ。
 外に車を置いているから、とにかく そこまで行こう。」

カバンを持ったまま、スタスタと先に歩き出す大佐に
僕と兄さんも、慌てて追いかけた。

「で、なんで あんたの家にいかなくちゃーならないんだ!
 それに、あんた 仕事は?」
カバンを人質に取られて仕方なく車に乗り込んだ兄さんは
後ろの席に ふんぞり返って大佐に文句を言っている。

「今日は休日だよ。
 それと、私の家に行くのは ちゃんとアルフォンス君も
 知っていた事だしね。」

意外な言葉を聞いたとばかりに、兄さんが驚いたように
僕に聞いてきた。
「アルも? 
 アル、お前 知ってたのか?
 なんで、俺に言わなかったんだよ!」

今度は、矛先が僕に向いてきた。
「兄さん・・・、
 ちゃんとお医者様の言うこと聞いてたの?
 先生言ってたでしょ。
 3日間の入院と 保護者の下で自宅療養1週間って・・・。」
「えっ、だから お前と宿に戻って、文献みる・・・じゃーなくて
 療養するつもりで・・。」
「兄さん、 弟の僕が 保護者なわけないじゃない。
 人の話は きちんと聞きなさいって、いつも言われてたでしょ。」
はぁ~とため息をつきながら、兄の考え違いを指摘すると、
今頃、医者の言葉を思い出したように 兄さんが顔をしかめてる。

「と言う事で、私が迎えに来たのは解ってもらえたかな?」
「でも、何も わざわざ・・・。」と 納得の行かない表情で
ぶつぶつ言っている兄さんに、
「それに、私の家には 文献が置いてあるんだが?」
「えっ、文献?」
「そうだよ。入院中に預かっておいたのが、そのまま。」
「そ、そうか、文献が・・・。」
「自宅療養を きちんとするなら、私の家で読んでも構わないが?」
う~ん、と腕を組んで考えている兄さん。
「まぁー、仕方ないな。
 大佐、お世話にナリマス!。」
「よろしい。 お世話致しましょう。」と クスクス笑いながら
大佐も機嫌よく返事をする。

その後の大佐の家での同居生活のお話は、また後日 別の研究に
しようかと思う。

大佐の家でお世話になっている間、
大佐は 毎日、お土産を僕達に買ってきてくれたり、
休みの日には、ドライブに連れ出したりもしてくれた。

グルメマップのお店に毎晩出かけようかと提案した大佐に、
「もったいないから、居候の間は俺が作るよ。」と
兄さんが言うと、大佐は ひどく驚いた顔をしたけど、
嬉しそうに「期待している。」と答えた。

大佐との約束で、文献を読むのは
大佐が出勤をした後から、夕方までと決まっていたので
兄さんは その後、料理をして大佐を待つことにしたようだ。
兄さんの料理の腕前は、母さんと師匠仕込みだから
なかなかの腕前だと思う。
大佐は、「美味しい」を何回も言って
兄さんを喜ばせていた。

兄さんが居る1週間、大佐は 出来る限り定時に戻っていた。
遅くなりそうな時には、きちんと連絡もくれていた。

朝は 「いってきます。」「いってらっしゃい。」の挨拶で
戻ってくると「お帰り。」「ただいま。」。
夜は「お休み。」「おやすみなさい」。
そんな やり取りを、兄さんは ごく普通に毎日やっている。
そして、そんな兄さんを大佐は、本当に嬉しそうな表情で見ている。

そんな風に、穏やかに1週間が過ぎて行った。


「次は どれ位になるのかね?」
「う~ん、行ってみないとなー。
 あの文献、本当に情報が多かったから
 取り合えず、1つ1つあたってみたいしなー。」

駅まで見送りに来てくれた大佐と兄さんが、
会話をしている少し離れた場所で、
大佐を送ってきた ハボック少尉と僕が話していた。

「よぉ、お前の兄さん。
 すっかり良くなったようで よかったなー。」
「はい、ご心配おかけしました。」

「で、お前ら この1週間、大佐の家に至って本とか?」
「はい、そうなんです。
 大佐には 本当にお世話になって。」

「くっそ~! 負けた~。」
くやしがるハボック少尉を不思議に思って聞いてみた。
「何が負けたんですか?」
「いや~、ここ最近の大佐の行動が変でよー。
 で、軍のやつらと賭けしてたんだけど~。」
「大佐が変って?」
「いやなー、大佐 ここんところ、毎日 

ほとんど定時帰りだっただろ?
 まぁ、仕事は きちんと片付けていたから
 中尉も、喜んでたんで何も言わなかったんだけど。

 毎日、嬉しそうに いそいそ帰るから、絶対にデートだって
 思ったんだよな~。

 この前も、帰る前に 大佐が 鏡見ながら
 髪に櫛とかしてさ、
 しかも、鼻歌とかうたってるんだぜ。」
「へぇ~、それって 昨日?」
「おっ、よくわかったな。
 で、たまたま通りかかって見てた 俺とブレダで
 ありゃー絶対にデートだなって、
 しかも、今日が決めで 勝負パンツ穿いてんじゃー
 ないかって雰囲気でよ~。
 
 大将が ここに居るってのは軍の皆知らされてなくてな。
 見舞いに行こうかと言ってたら、
 大佐に、静かな所に静養に出かけてるから
 余計な事をするなって言葉、信じちまってて~。
 やられたー。」
ハボック少尉は、がっくりと肩を落としていた。

「じゃぁ、その賭け。
 勝った人もいたんですか?」

「おうよ、ホークアイ中尉が 総取り。
 中尉は、『家で、待っている人がいる』って賭けたんだよ。
 けど、大佐って 家には人を入れないから
 皆、それはないだろうって・・・。」

はぁ~給料前なのに・・・と泣きを入れているハボック中尉を
よそに、僕は 今回の研究の答えを考えていた。

昨日、食事を作ってくれていたお礼にと
大佐が兄さんと待ち合わせて食事に出かけていた。
帰ってきた二人の会話を思い出す。

「上手かったよな~。」
「そうかね?
 でも、君が作る料理の方が 私は美味しいと思うがね。」
「それはないって、
 やっぱり、プロの料理は全然違うよ。」
「いや、君の料理も プロ裸足だよ。」とむきになって
兄の料理のよさを上げていく大佐。
兄さんも、そんな大佐に あきれていたようだけど
やっぱり、褒められてうれしかったのか、
「サンキュー」って返していた。


『ピィー!!』と列車の出る合図が聞こえてきた。
僕も 考えていた答えを一旦中断して、
兄と大佐の 所に行った。

二人は、まだ 会話の最中で、
「じゃー、もう 行くな。」
「鋼の・・・。
 寂しくなるな・・・。」
本当に 寂しそうな表情で言葉すくなに告げる大佐に
「だぁー!
 もう、あんた 昨日から、そればっか。

 わかったよ!
 今度 帰ってきたときに、また料理作りにいってやるよ。
 だから、それまで我慢しろ。」
どちらが上司かわからない態度で 兄が大佐に言ってやる。

「ほんとかね?
 また君の手料理が食べれると思えば、
 我慢する甲斐もあるな。
 飢え死にする前に、戻ってくれるのを期待しているよ。」

列車に乗り込むのに手すりに掴まり、乗り込みながら兄さんも
「おう、なるべく早めに戻ってやるよ!
 じゃぁな~。」と手を振って中に入ると同時に、
列車も動き出した。

「鋼のー!
 無茶するんじゃーないぞー!」
どんどん小さくなる、大佐とハボック少尉の姿に
「おうよ~。」と手を振る兄さん。

二人のやりとりが恥ずかしくて、僕は先に席を探しに中に入っていた。
ハボック少尉は、自分の上司の普段には見れない姿を見て
硬直している。

兄さんは席に着きながら、

「大佐も 意外にさみしがり屋だったんだな~」と
全く 的を外した考えに 一人納得していた。

今回の僕の探求の結果をまとめてみた。

1、相手の好みを熟知している
2、常に相手の喜びそうな事を行う
3、まめである
4、相手の為なら、周囲を省みない言動をする
5、相手を優先順位の1番に行動する
6、相手に気にかけてもらえるのが、嬉しくて仕方ない

そして 最後に
7、料理の決め手は、愛情のスパイス

この結果をまとめて、僕は大佐の行動が
何に基づくかが 解った気がする。

大佐、でも・・・
 兄さん相手じゃ~苦労しますよー。



[ あとがき ]

長くなった~。(T.T)
さらっと終わる予定にしていたのにー。
もっと日記風に、きちんと書いて行こうかと思ったんですが、
話が 上手くまとまらない~!!
未熟者で、読むのが ややこしくなってゴメンなさい~。m(__)m



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